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透明な滴の物語U
【同性愛♀ 官能小説】

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学園の風景-3

2位以下と1位では決定的に違う。
2位以下とは違い、トップはたった一人しか存在しえないからである。
唯一の存在を争えば必然的にそれはライバル関係となる。
「私は大丈夫よ。それより、千帆、次は体育よ」
気丈に答えながら、麻衣は重ねたトイレットペーパーで口元を拭った。

千帆は、皆より少し遅れて教室に戻る最中だった。
前の授業が行われた化学室で先生とともに後片付けをしていて、時間が過ぎてしまったのである。
そして自分の教室に帰る前にトイレに立ち寄ったところ、便器を抱え込んでいる麻衣を発見したというわけである。
「大丈夫なわけないじゃない。吐いたの?」
だるそうに立ち上がる麻衣に手を貸した。
「吐いてないし、本当に大したことないの。教室へ戻りましょ」
普段はあまり言葉を交わすこともない二人であるが、今は状況が状況である。
「どこか悪いの?痛いの?」
千帆は顔色の悪い麻衣を覗き込みながら一緒に廊下まで出た。
麻衣はその質問に答えなかった。

数学の教師が廊下を歩いてきた。
「おーい、お前ら、次は体育だろ?行かなくていいのかぁ?」
豪放磊落な男性教師は明るく声をかけた。
「先生!麻衣さんの具合が悪いんです。トイレでしゃがみこんでいて…」
数学教師は驚いて足を止めた。
「えぇ!?そうなのか。麻衣、どうした?」
事が大きくなってしまいそうな気がして麻衣は目を背けた。
男性教師の目にも麻衣の体調不良はすぐに分かった。
「よし!千帆、おまえは麻衣を保健室に連れていくこと。俺は体育と担任の先生に事情を説明しておくから、心配するな。とにかく、麻衣を頼んだぞ」
このようにして、意に反することではあったが、麻衣はライバルの千帆に付き添われて保健室にいくことになってしまったのである。

静かな午後の保健室であった。
学校医である白髪の老女医と麻衣は向き合って座っていた。
患者用の丸椅子に座った麻衣に、おばあさんといっても良い年齢の女医が問診する。
「いつから具合が悪いの?」


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