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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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彼の名は-4

県職員って職業が地味なのか、うちの職場だけがハズレなのかはわからないけど、とにかくここから旦那さん候補を見つけるのは無理だと判断した。


だから、こんな職場で親睦なんて深める必要なんてないんだけど、宴会好きの総務課長が4月からこちらに異動になった県職員の方々と、新しく入ったあたしの歓迎会を開くと張り切ってしまい、今に至る。


あたしは歓迎される立場だからと、お膳の前でのんびり飲み食いしていたけれど、お局様方が“みんなにお酒注いでまわって親睦深めなきゃダメよ”なんて言うもんだから、しぶしぶおっさんどもにお酌をしてまわった。


大して減ってもいないおっさん連中のグラスにビールを注いでまわる行為が無駄にしか思えないけれど、これが社会人としての常識らしい。


お昼は少ししか食べなかったから、この歓迎会でガッツリ食べるつもりでいたのに、お酌でおっさんどもに捕まって全然料理が食べられなかった。


それでもなんとか愛想笑いで切り抜け、あと一人に酒を注げば料理にありつけるというところまで来たのに、その最後の一人である文屋さんに捕まってしまったのだ。


「仕事はもう慣れた?」


というありふれた話題で先輩風を吹かした文屋さんは、さらに少しずつ踏み込んだ話に及んできて、仕舞いにはあたしの恋愛話にまで言及してきたのである。



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