はじめての‘戦闘’-1
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吟遊詩人は歌う――ここは剣と魔法の世界、と。
でもそれは遠まわしに言ってるだけで、実は‘股間の’剣と‘性’魔法でエッチなモンスターと戦う、それがこの世界の現実。
この世界のモンスターは、なぜだか人間を‘襲う’。
人がイク時に出す‘精気’を食糧にしてるそうで、運が悪いと逝くまでイかされ続ける。
そんなヤツらが辺りをうろついてたら、みんな安心して暮らせない。
そこで、この世界には「勇者」っていう職業が存在する。
勇者と言っても、そんな特別なものじゃない。
要はモンスターとイかせ合いをして、そういうコトが苦手な人たちを守る、そういうお仕事。
公共性の高いお仕事だから、一応国王から支度金が渡されたり、旅先での宿賃がお安くなったりもする。
で、私も役所で手続きして支度金もらって、今晴れて勇者の仲間入りをしたところ。
なんで勇者になろうと思ったか――それは、私が‘ふたなり’だから。
いじめられたとか迫害されたとか、そういうことは別になかった。
まぁ周りの人も、どうしたものかと少し‘腫れ物’に触るみたいではあったけど。
でも、人とは違って生まれた以上、人とは違った意味があると、私は信じてる。
だって、‘普通’に恋愛して結婚して子ども生んでって人生が、‘普通’じゃない身体に生まれたんだから。
男も女も合わせ持った私にとって、勇者はホントに天職かもしれない。
もしかしたら、東の廃城にいるっていう‘淫魔王’も倒せるくらいの、本物の勇者になれるかも。
――まぁ、まずはやってみなくちゃ分からない。
私はお城を後にして、勇者としての第一歩を踏みだした。