バカは死ななきゃ治らない 〜side芽衣子〜-1
また、許してしまった。
あたしは、隣で呑気にいびきをかいて眠る、彼氏の背中を見つめた。
もう何度このパターンを繰り返してしまうのだろう。
あたしはムクッと身体を起こすと、隣で眠る茂を起こさないようにベッドから降りた。
素っ裸で自分の服を探す姿ってマヌケなんだろうなと思いながら、暗がりの中で先程まで纏っていた下着や服を見つけると、おもむろにそれらを再び身につけた。
服を着てから大きくため息をつく。
数時間前は絶対許さない、別れてやるって決めていたのに。
ジロッと茂を睨みつけてやるけれど、無邪気な寝顔を見てると、やっぱりあたし好みだなあって思っちゃう。
しばし茂の寝顔を見入ってから、あたしは我に返ったように首をブンブン横に振った。
こういう弱さが、茂と別れられない原因なんだろうなってわかっているんだけど。
そう思いながら、あたしは未だに疼く左頬を静かにさすった。