あの時のアレ 〜side久留米〜-17
部屋に戻ると、芽衣子は服に着替えて居心地悪そうにテーブルの前で正座をしていた。
「じゃあ、飯食うか」
オレは静かにそう言うと、味噌汁を温め直したり、ご飯をよそったりしてテーブルの上に次々と皿を並べ始めた。
「……いただきます」
芽衣子は申し訳なさそうに頭を下げてから箸を持ったが、一向に手をつけようとしなかった。
やはり、夕べのことで頭がいっぱいいっぱいなのだろう。
オレはカチャッと箸と茶碗をテーブルの上に置いてから、
「……夕べは悪かった」
と頭を下げた。
芽衣子は驚いたように目を丸くして、
「い、いやっ、あたしこそごめんなさい!」
と頭を下げてきた。
「いいや、悪いのは全部オレだ。
お前が酔っ払ってるのをいいことに口車に乗せてしまって……。
だから、お前が自分を責める必要なんてないんだからな」
「あ、あたしだって久留米くんに甘え過ぎて調子に乗っちゃ……」
「芽衣子」
オレは芽衣子の言葉を最後まで待たずに遮り、真面目な顔で彼女を見やった。