あの時のアレ 〜side久留米〜-16
芽衣子にも気持ちの整理をつける時間が必要だろう。
そう思いながら、あてもなく近所をうろついていた。
オレを男として意識して欲しくてしたことが、結果はオレ達に罪悪感を残しただけだった。
やはり茂のことを思うと、ひどい裏切りをしてしまったと後悔ばかりがよぎる。
悔やんでしまうのは、きっと芽衣子の気持ちをよくわかるから。
アイツが茂にどれだけ悪態を吐いても、結局茂の元に返ってしまうのを知っているから。
オレがどんなに芽衣子を想っていたって、彼女がオレのものにならないのを知っているから。
煙草の煙がため息と一緒にフーッと辺りに広がる。
オレは、いつになったらこの報われない想いから解放されるのだろうか。
オレは背中を丸め、なんとなく重い足取りで、再びアパートへと戻った。