金髪女-5
「……あのね、真奈美ちゃん。びっくりさせてごめんなさい。でもね、聞いて。
あの日私、貴方の前であんな恥ずかしいことしちゃったのは、彼が今まで無いくらい激しく求めて来てくれたからなの。
息が出来ないくらい私をぎゅっと押さえつけて、あんなに張り詰めた性器を根元まで沈めて、引き抜いて……また沈めて。
何度も何度も激しく出し入れされちゃって……
それをあなたに見られたかったの。そう、見て欲しかったの。
もちろん彼は人間じゃない……人間じゃないけど、人間よりずっとたくましくて、雄々しくて……
荒っぽいけど、太くて立派なモノで私を激しく愛してくれる彼を……
彼といつでも……ひとつになれる関係を――自慢したかったの!」
真奈美は、熱病にかかったように潤んで焦点の定まらない目で虚空を見詰めながら、受話器を片手にボーッと立ち尽くしていた。
受話器の向こうから聞こえるサヨコの声は妙になまめかしく、真奈実の頭の中で反響した。
その声に、真奈実は早朝の公園の草むらで、目前で繰り広げられたあの行為の一部始終を鮮明に思い出していた。
「真奈美ちゃん、覚えてるでしょう? 彼の逞しい肉棒を撃ち込まれて、喜びに満ちた淫らな私の顔を…… 快楽に支配されて震え悶える私の体を!
ブルンブルンと揺れ踊る乳房。興奮してツンと尖った乳首……」
「あっ、あのっ……」
耐えがたい恥ずかしさで思わず話を遮ろうとしたが、その女はお構いなしに喋り続ける。
「そして……見たでしょう? 毛皮に覆われていてもはっきりと分かる彼の筋肉。
私の腰と、彼のたくましい腰が向かい合ってガッチリ繋がって……」
「もお……やめてください……」
真奈美は、ふりしぼるようなか細い声で懇願した。
「あら、真奈美ちゃん……ごめんなさいね。刺激が強すぎたかしら。でもあなた、私の彼は本当はあなたに興味があったのよ!」
サヨコの唐突な言葉が真奈美の胸をズキリと刺した。
「彼は、あなたを見て興奮して、それで私の中に濃いのをいつもより沢山吐き出してくれたのよ!」
真奈美は、受話器を通してだが、サヨコの言葉にわずかに見え隠れする嫉妬のような含みを感じ取り、怖くなった。
そして動物である彼への愛情、抱かれたいと感じる欲情、そしてライバルへの嫉妬。
それらを少しでも理解できないものかと、犬と繋がったサヨコの姿を自分の姿に重ねながら想像を巡らせた。
……そうしているうちに、左手は無意識のうちに自分の股間へと延び、幼い縦溝に沿って指を滑らせ始めていた。
「これはお願いなの。いやかもしれないけど、もう一度私たちと会って、私たちがするところを見守っていて欲しいの。」
「あのっ、ご、ごめんなさいっ! わ、わたし……」
断ろうとするのだが、うまく言葉で表現できない。
「お願いよ…… お願いなのよ……ああっ」
受話器の向こうの声が、なんだか悩ましくみだらな響きに変わり始めた。
「あっ、あのっ、サ……ヨコさん?」
変に思った真奈美だったが、サヨコの声に混じって別の何者かの荒い息遣いが聞こえてきた。
それは獣の、ドーベルマンの息遣いに違いなかった。
(サヨコ……さん? あれ、まさか電話掛けながらワンちゃんとしてるの?!)
「だっ……だめ! んっ、んん……」
悩ましいサヨコのうわずった声を聞いていた真奈美は、いつの間にか左手で秘部を激しく責め立てている。
おかげで、あふれ出た愛液がパンティを濡らすだけでは足りず、太腿を伝ってポタリポタリと床にこぼれていた。
「ごめんなさい、サヨコさん。私、もうあんなおぞましい行為、見たくないです……」
言葉とは裏腹に、真奈美の左手は動きを止めることが出来なかった。
「そんなこと言わないで、真奈美……ちゃん、き……きっと、私たちぃ……い、い、友達になれると思う……わ……あっ!」
あれっ? 真奈美は受話器の向こうから聞こえる犬の微かな咆哮をを聞いた。
……それも、一匹や二匹じゃ無い。
(この人、どこから電話してるの?公園?自宅?……いずれにしても、複数の犬と一緒に居て、複数の犬としているのかしら?)
「真奈美ちゃんが……来てもらえないなら……あたしから、あなたのお家に行っても良いかしら……」
「ええっ!」
真奈美はサヨコの予想もしない大胆な提案に驚いた。
「大丈夫、今日ご両親は実家へ出かけていて、夕方まで戻ってこられないんでしょう?」
どうして!?真奈美は、なぜサヨコがそんな事まで知っているのか理由が分からず、不安を通り越して恐怖すら感じた。
「大丈夫よ、お家の中は汚さないわ。裏庭だったら芝生が植わっていて気持ちいいし、垣根があるから外からはほとんど見えないでしょう?」
「そっ、そんな事じゃないんです!こっ、困ります!」
屁理屈で強引にねじ込んでくる沙夜子に必死で抵抗する真奈美。
しばらく押し問答が続いたが、やがて電話の向こうのサヨコの声に変化が現れた。