悪戯―いたずら―-4
そこはだめ……、ああ、そこもいや……、あそこが、じんじんしちゃう──。
微熱どころでは済まない紗耶香の体が独りでに粟立っていく。
「あれを忘れるところだった」
つぶやきながら島袋が別室へ消える。
もやもやしたまま紗耶香が待っていると、エプロンを手にした島袋が戻ってくる。
「これがないと、起つものも起たないんでね」
紗耶香の背後からエプロンを着せていく島袋。寂しい男の偏屈な趣味である。
そしてリクライニング付きの座椅子を見つけてくると、そこへ紗耶香を座らせて、さらにSMプレイ用の縄でもって若妻の全身をぐるぐると縛っていく。
「体に傷だけはつけないでください……」
「大丈夫ですよ、ちゃんと愛情を持ってやってますから」
冗談か本気かわからない島袋の言動に、紗耶香はただ不安になるばかりである。
「奥さん、ますます素敵な恰好になりましたよ」
見事にドレスアップされた人妻の全貌に興奮して、島袋の股間に青春が宿ってくる。人質のようなビジュアルが目に眩しい。
縄に挟まれた胸のふくらみが呼吸で揺れて、吐息で揺れて、たまらなく猥褻である。
こんな恰好をご近所さんの誰かに見られたら──紗耶香の心配は尽きない。
「こういうの、嫌いではないでしょう?」
操り人形の糸を引くように島袋が縄を触ると、紗耶香の全身にかすかな束縛感が食い込んできた。
「あう……うう……」
むしし、と歯を見せて島袋が笑う。そしてエプロンの脇から手を差し込んで胸を揉み、紗耶香の反応を見て、服の中から片方の乳房をこぼれさせた。
「ちょっ……と、やめ……」
かまわず乳首に吸い付きつつ、太ももをべっとりと撫でまわす。
「あん……」
「スケベな奥さん、ああ、この歳まで生きててよかったですよ」
「あ……ん」
スカートの中に迫ってくる手が下着にまでたどり着いて、ひょいと生地を引っ張る。ショーツが股間に食い込む感触に身悶える紗耶香。
さらに五本の指が別々にうごめいて、恥部のあたりへ移動するやいなや、敏感な粒を探るようにじっくりと撫でまわしてきた。
「あ……はん」
性的な電流を浴びた下半身が痺れてひくつく。
「奥さんのここは、浮気癖がついてしまったようですねえ。ほら、もうこんなにふやけてる」
割れ目のラインに沿って下着を愛撫する島袋の指に、適度な湿り気が染みてくる。
「濡れてますよ?」
それは紗耶香も認めるしかなかった。嫌いな相手に生理をコントロールされているという後ろめたさが、今の紗耶香には媚薬のように感じられた。
体の奥から溢れ出してくるものの正体は愛液であり、紗耶香の本音によってつくられた甘い蜜なのだ。
「はあ、はあ、だめ……はあ、はあ、あん……」
記憶に自信がなくなりそうなほど、紗耶香は男の愛撫に溺れていった。