未知の感覚-5
「あぁ〜、ダメ!ダメ!やめて…」
恵子はその様子を見てニヤリとした。
ナースの恵子は、肛門が性感帯になりうることを百も承知している。
恵子は指を完全に尻穴に埋没させると、中で指を曲げてかき回し始めた。
しなやかな恵子の指が肛門の中で蠢く。
その動きは、いつも聡美にするときと同じで快感のツボを心得たものだった。
「アァァ〜!アァァ〜!」
祐梨は顔を左右に振り、身悶えながら叫ぶ。
それは、強制的に開発された快感に飲み込まれることを恐れた本能の叫びだった。
しかしその快感は、恐れとは裏腹にあまりにも甘味だった。
「祐梨、もっと、もっと感じなさい」
その麻薬の味を知っている聡美は、祐梨が溺れていく姿態を見ながら自らの花芯を熱くしていた。
「アァァ〜!イヤァ〜!」
祐梨の河口から漏れ出した蜜は流れ落ち、青いゴム手袋の指まで伝った。
ワセリンと祐梨の蜜が混じり合う。
皮肉なことに、それはゴム手袋の滑りを良くする効果を生んだ。
「イヤァーー!!」
尻穴で感じる初めての性感に絶叫する祐梨。
膣穴の昇天するような快感と違って、尻穴で感じる快感は火遊びをしているような背徳的な快感だった。
祐梨は麻薬の味を知ってしまったのだ。
いちど麻薬の快感を知ってしまうと、知らなかった時の自分に戻ることは不可能に近い。
この先、麻薬の快感に溺れる人生を選ぶにせよ足を洗って抜け出すにせよ、祐梨は重い懊悩を背負って生きていくことになるのだ。
祐梨の振り乱した髪が涙に濡れた頬に張り付いていた。
肩で息をしながら祐梨は朦朧としている。
祐梨の肛門から引き抜いた指を見て恵子が言った。
「祐梨さん、硬いわ」
祐梨はぐったりしながらも、ようやく恵子に顔を向けた。
「祐梨さんのお尻の奥でね、とっても硬い便に触れたのよ」
そう言って恵子は手袋の指を掲げ上げた。
指先のゴムには、茶色をした祐梨の痕跡がはっきりと付着していた。