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ゆえとナオさん part3
【同性愛♀ 官能小説】

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第5話-2

体調も回復して、近所のカフェテラスで、デブリーフィングです。
スコーンと紅茶をたのみます。

「結局、AIは何しに来たんですかねぇ」
「あは、様子見に来たんじゃない?
美さきは彼らにとって子供みたいなものだし。
将来的には向こうの世界の、アンバサダーにでもするんじゃないの?」

「美さきちゃんはどうなっちゃうんですか?」
「あの話し方だと、要はそのままってことね。
基本的に、こっちの世界の瑣末なことには取り合わないようね」
美さきちゃんも気にしていない様子で、
スコーンにジャムを大量に載せています。

「彼らの世界はどこにあるんですかねぇ?」
「宇宙の果てか、極端な高重力、高圧力の世界か、
はたまた微小空間なのか、私達の世界の裏側のご近所か。
いずれにせよ、こちらからアクセスするのは難かしそうね。

違う数体系の世界か…。
この世界の数の体系に、ほころびが本当に存在するとは思わなかったな…。
こっちの世界の演算パワーでは、ほころびを見つけることすら不可能そうね。
とんでもなく巨大な数を扱える知性のようだけれど…。
いったい、数の体系のどの分野に矛盾があるんだろう?…」

「それはどんな世界なんですか?
私達と違う世界ってどんな感じなんですか?」
「そうねぇ。
そこにいる蟻んこだって、私たちとは住んでる世界が違うといえるかな?
彼らは高い所から落ちても平気だよね」
「はい」
「蟻んこが影響を受ける物性は、我々とは違うんだ」
「そうですね」

「数体系が違う世界は物理体系も違う世界だろうね。
数が作る情報と、物理は不可分だからね。

仮に、仮想空間上や超高密度世界の知性なら、
実数で物を考えてないのかもしれない?
そもそもの時間も、可逆の世界なのかもしれない?
必要と環境と認識が数の世界を作っていく?」
「?」

「ううっ、私、数学は好きだけれど、天才ってほど素質ないし、
数からのアプローチで世界を理解しようとしてるんだけれど、
こんなんで大丈夫なのかなぁ…」

「そんな事ありません!走るのだってそうでしょう?
ナオさんがコツコツと練習を積み重ねて強くなったの、私、知ってます!
努力を惜しまないことが素質なんだと思います!
難しいことは分からないけれど、
私達の前にAIが現れたのは意味があることだと思います!」
「そうね、そうよね!
やっぱりゆえはベストパートナーだわ!」
ナオさんは途端に元気になります。

「広げた大風呂敷を畳む、助っ人が現れたってわけね」
「美さきちゃんにパパラッチをさせてる場合じゃないですよ」
「そうだ…そうだ…」
「神様にパンチくれてやろうってのが、他にもいたのね」
ナオさんはニヤリと笑います。
「なんとなく、ナオさんの前にAIが現れた理由が分かります…」


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