姦通―かんつう―-4
「奥さんの唇は、もう私のものだ」
島袋のキスは、ぞんざいに思えてじつは紗耶香のツボを的確に捉えていた。
加齢を感じさせないそのテクニックに、いつしか紗耶香の体はおかしな熱を帯びはじめる。
こんなこと、要求したわけじゃないのに──。
ただの火照りではない淫らな雰囲気が、一人の主婦をあらぬ姿に変えようとしていた。
「さすがに肌がぴちぴちして、いくらでも楽しめる」
キスをやめた島袋の視線が、今度は紗耶香の胸のあたりをらんらんと見つめている。
島袋は、人妻が身に着けるブラジャーも好きだった。
間近で拝む紗耶香のブラジャーは、グラマーでありながら潔癖そうにしていて、触れたらたちまち罰が当たるのではないかと思わせるほど白かった。
「やめて……」
さらなる危険を察知した紗耶香が、まずは言う。
「ははあ、さては奥さん──」
勘ぐる調子で島袋の口が角度を上げる。そうして準備してあった両手を紗耶香の胸にあてて、ぐいっと鷲掴みにした。
「いやっ」
ありえないことの連続に、紗耶香の声にも迷いがあらわれはじめる。
「奥さんはここが弱いのかね?」
言葉で責めておいてから、島袋の手が若妻のブラジャーをもてあそぶ。
ゆとりのない手つきでてっぺんをこねくりまわしたり、手のひらいっぱいに感じる乳房を揺すったり、とにかく動く指をぜんぶ使って胸の感触を味わった。
「もうゆるして……」
哀願する紗耶香の手が島袋の腕を引き剥がしに行くが、まるで効かない。
「奥さんのおっぱい、大きくてやわらかくて、たまらないよ」
的確な愛撫によってブラジャーの中の乳首がころがされている。
「自治会長さん、ひどいです……」
「それは違うな。泣かせてしまったお詫びに、あなたを慰めてあげているだけだよ」
興奮した島袋がブラジャーを上にずらすと、豊満な胸のふくらみが二つ、ぷりんぷりんと揺れながらこぼれてきた。
「きゃっ」
一気に頬を赤らめる紗耶香。
「奥さん、乳首がこんなにも起ってるじゃないか」
告げられた言葉に嘘はないのだと紗耶香は自覚していた。
全身がかっと熱くなって、思わぬところが濡れてくる感覚に身をよじって自分を取り戻そうとする。
こんなときに、どうして濡れるの──。
ほんとうはそういう願望が誰よりも強いのではないだろうかと、性癖そのものを疑いはじめる紗耶香。