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10年目の恋
【ファンタジー 官能小説】

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月夜の恋-8


「・・・・なんで今ポチって言ったんだよ」

「ちゅーした犬の名前。満月の夜に拾ったの。急に思い出しちゃった。
もう、元のおうちに帰っちゃったんだけどね」
「へ〜・・・」

「ねぇ。徹の好きなセロリチャーハンだけどね。
あたしは徹に教わったんだけどね。
徹はあたしに教わったんだよ?」

「意味分かんねーんだけど・・・」
「いいのよ。わかんなくても」

「徹。この前8年記念やったけどさ。本当はあたしたち10年なのかも」
「はぁ?10年前って俺たち出会ってねーけど?」
「あたし10年前の徹を知ってるよ。徹も10年前からあたしを知ってる」

ふふふ。と笑うあたしに徹は
「お前は時差ボケないよな?」
と顔を覗き込んだ。
「あっはっはっは。ある意味10年の『時差』ボケかも」


「徹。10年前から、愛してるよ」


困ったような呆れたような顔をしながら笑った徹の中にポチが見えたような気がした。
ポチ。あたし、幸せだよ。
ポチに、幸せにしてもらってる。

「徹。10年前から、いい男だね」


ありがと。ポチ。






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