エピローグ-1
画面はすぐさまお菓子のCMへと切り替わり、人気絶頂アイドルの坪倉(つぼくら)ひばりが満面の笑顔でチョコレートを頬張る姿が目に飛び込んできた。
(またいいとこでいっつもCMか)
女は再び舌打ちをした。
でも、動物動画ランキングなんてそんな興味があるわけじゃない。
一位の映像を見たキャスターやゲスト達の信じられないと言った表情だけが映された画面が、少し気になっただけなのだ。
「くだらない、寝よ」
また二度寝を決め込むつもりで女は毛布に潜り込んだ。
こうしてベッドで待っていれば、ほどなくして男が帰ってきて、仲直りと称し自分を抱くのだ。
どんなに拒んでも、力ずくで抱かれるうちに、よがって声をあげてしまう自分がたまらなく嫌だった。
そんないつものパターンに流されるのがもううんざりだったから、男が帰ってくる前に本気で寝てしまおうと女は考えていた。
でも、毛布越しに聞こえてくるテレビの音に思わず眉間にしわが寄る。
テレビを消すのを忘れていたのだ。
しかし、テレビのリモコンはテーブルの上に置いてある。
ちょっと起き上がって手を伸ばせば静寂が得られるけれど、先程の男の暴力により、起き上がってそれを手に取る気力など女にはもはやなかった。