エピローグ-9
『ですがMさんが次に見た光景、そこにはメイちゃんが体を丸めて眠っていて、彼女のお腹の辺りで、まるで守られているかのように眠るシゲくんの姿があったのです。
信じられないでしょうが、それから二匹はずっと一緒で離れようとしないんです』
女子アナの声に合わせたかのように、メイがシゲを背中に乗せて、家の中を散歩していたり、二匹仲良く寄り添って寝ている映像が次々に映し出された。
『あまりの仲の良さに、メイちゃんとシゲくんを離れ離れさせるのが可哀想になったMさんは、シゲくんを譲り受けたいと知人の方にお願いし、今はこうして毎日仲良く過ごしているそうです。
ですが、メイちゃんがお昼寝をしていると、シゲくんがまるで“遊んで〜”とせがむようにじゃれついてくるから、メイちゃんはゆっくりお昼寝ができなくなってしまったのが悩みなんだとか』
女子アナが言い終えると、司会の男性アナウンサーがニコニコしながら、
『いやあ、ホントに信じられないですね』
と、言った。
『猫って狩猟本能があるからこういう光景は考えられないんですがねえ』
『合成じゃない?』
あちこちで色んな意見が飛び交う。
そんな中、坪倉ひばりはニコニコ目を細めて、
『なんか、こういうのって素敵ですね』
と呟いた。
すかさず女子アナが、
『そうですね、お互い相手のことを好きだってのがすごい伝わってきて、ほのぼのしますね』
と、つられたように微笑んでいる。
『なんか……、こうやって種類を超えても仲良しなの見てると、この子たちって前世で恋人だったような気がしません?』
坪倉ひばりがポツリとそう言うと、司会の男性アナウンサーは呆れたように笑った。
『前世って、坪倉さんはずいぶんロマンチストだったんですね』
『だって、そんな感じしませんか?』
『うーん、私はそういうのは一切信じないんですよね。
というか坪倉さん、前世とかそんな可愛らしいこと言っちゃって、これからは不思議ちゃんキャラで行く予定なんですか?』
『違いますってえ!』
坪倉ひばりがいじられている様子に、スタジオ内に和やかな笑いが広がった。