エピローグ-3
(お願い、アタシは寝てるってわかって……)
わざと反応しないで狸寝入りをしているものの、男はそれを見抜いているのかいないのか、構わずに話を続けた。
「おれさあ、頭冷やしてよく考えたんだ。
多分おれらはこのまま一緒にいたって、お互いダメになっちまう。
だったら別れた方がいいのかなって」
予想だにしなかった男の言葉に、優花はびっくりして思わず毛布から顔を出した。
「蓮(れん)、本気なの!?」
「ああ、お前が別れたがっていたのも実は気付いてた。
……でも、おれが優花と別れたくないがために、お前をずっと縛り付けてしまっていたんだよな。
でも、もう決めた! 別れてやるよ」
端正な顔をした蓮が少し悲しそうに笑った。
その顔に優花はズキッと胸が痛んだ。
同時に、あれだけ別れたがってたくせに、いざ別れを切り出されると、優花の中で迷いが浮かんでしまった。
優花は密かに目の前の男をチラッと盗み見た。