君をもう一度抱きしめたい2-1
小馬鹿にしたような園田の視線に対抗するように、ジロッと睨み返した俺は、
「童貞に言われたくねえんだよ!
向こう行ってろ、このお邪魔虫」
と、片手で芽衣子を抱いたまま、もう片方の手でシッシッと園田を追いやった。
しかし、奴はハアーッと深い深いため息をつき、呆れたように額に手をあてて、首を横に振っている。
「全く、この人はホントいいとこなし。
感動のご対面だと思って涙ながらに見守っていたのに、すぐさま有野さんの身体に手を伸ばして、乗り気じゃない彼女に強引に迫って……。
ホント節操なくて別の意味で泣けてきました」
「うるっせえ!」
「……ねえ茂、この人誰?」
歯を剥いて園田を威嚇する俺の腕の中で、芽衣子が不思議そうに訊ねて来た。
「あ、ああ……、コイツはだな……」
説明しようとしている俺の言葉を、園田は上から被せるようにして、
「私、あなたのエンジェルになりました、園田誠司と申します。
“セイくん”とか“セイたん”とかお好きに呼んで下さいね」
と遮ると、俺達の目の前にしゃがみ込んで、あの得意なキメ顔を芽衣子に向けた。
俺に自己紹介したときよりはるかに高いテンションで、名刺を芽衣子に渡した園田にイラッとする。
「……はあ」
よくわからないままに名刺を受け取った芽衣子は、しげしげとそれを見つめていた。