君をもう一度抱きしめたい2-7
コイツと顔を合わせりゃ、いつもバカばっかりやって、笑い合ってた日々が自然と瞼の裏に浮かんでくる。
でも久留米はどこか大人で、暴走しがちな俺のブレーキになってくれていたから、俺も安心して羽目を外せていた。
それだけじゃない、俺と芽衣子の仲を心配しては世話を焼いてくれたり、喧嘩の仲裁をしてくれたり。
芽衣子を好きだからというのを差し引いても、俺達のために尽くしてくれた久留米。
それだけに、芽衣子を目の前で失ってしまったコイツの気持ちを考えると、罪悪感でいっぱいになる。
しきりに優しく久留米の髪を撫で続ける芽衣子に、
「芽衣子……、久留米はな、お前が崖から飛び込んだ時に、迷わず助けに向かったんだぞ」
と言った。
「え……?」
芽衣子が涙をためたまま俺の顔を見る。
「でも、さすがに生きてる人間をここから飛び込ますわけにはいかないと思って、俺がコイツを殴って気絶させたんだけどな」
意識を失う寸前に、久留米が俺の名前を呼んだことを思い出し、あることに気付く。