君をもう一度抱きしめたい2-6
「おい」
また失言してばかりの園田の腕を小突いていると、そっぽを向いて座り込んでいた芽衣子が突然立ち上がった。
「芽衣子、どこ行くんだよ」
そんな俺の問いにも答えず、彼女は俺達の横をスルリと通り抜けたかと思うと、まっすぐ久留米の元へ駆け寄った。
俺も慌てて芽衣子の後に続く。
芽衣子は、未だ気を失ったままの久留米の身体の横に膝をつくと、泣きそうな顔で奴の顔を見つめていた。
「芽衣子……」
少し眉根を寄せたまま、目を閉じている久留米の顔はどことなく悲しそうに見えた。
「……あたし、久留米くんには感謝してもしきれない」
芽衣子は奴の髪をそっと梳くように撫でた。
彼女の瞳から涙が一滴流れると、久留米の顔にポタリと落ちた。
「あ、有野さん! 生きてる人間に触ったらダメ……」
慌てて芽衣子を止めようとする園田の腕を、俺はグイッと掴んで、
「こんくらいは大丈夫だろ」
と、制した。
そして、俺も芽衣子の隣にドッカリと腰を下ろすと、親友の顔をじっと見つめた。
そして、
「俺だってそうだよ」
と静かに呟いた。