君をもう一度抱きしめたい2-3
そんなやりとりを聞いていた芽衣子は、赤い顔をさらに真っ赤にさせ口元を押さえて涙目になって、
「え……、この人、もしかしてアレを全部見て……」
と俺の顔を見た。
芽衣子にバラすつもりなどなかったのに、不本意な形でバレてしまい、俺は園田に対して盛大な舌打ちをした。
「あ、あのな芽衣子……」
なんとか言い訳しようとするけど、うまい言葉が出てこない。
そんな風に考えている俺を差し置いて、園田は更に、
「いや、私は覗くつもりはなかったんですよ。
なのに、手島さんが“二人がどんな風にヤってんのか見張ってろ”って言うもんだから、仕方なく言うとおりにしてたんです」
と、さらに余計なことをベラベラしゃべりやがった。
「おい、どんな風にヤってんのかを確かめさせたわけじゃねえだろ。
ただ俺は、芽衣子が本当に俺を忘れたくて久留米に抱かれたのかを知りたくてだな」
「そんなのどっちだっていいでしょ。
手島さんが、二人がやらしいことをするのを見張ってろって言ったのは事実なんだから」
責任のなすりあいをしていた俺を、芽衣子は恨めしそうに睨んでいた。
「……茂、最低」
そして彼女は低い声を出してそう吐き捨てると、ぷいっと俺達に背中を向けてしまった。
もはや取り付く島もない彼女に、何も言えずに下を向くだけ。
さっきまでのいい雰囲気からは一転して、張り詰めた空気になってしまい、どうしていいかわからなくなってしまった。