君をもう一度抱きしめたい2-21
俺が殴りかかろうとしているのを察知すると、奴もさすがに慌て出し、わざとらしい笑顔なんか浮かべ始めた。
「ででででも、正直あなた方に肩入れし過ぎてしまったんです。
だって、すごい感動したんだもの!
だから時間のことなんてついうっかり忘れて、あなた方の世界に浸ってしまったんです。
……ですから手島さん、ごめんネ」
園田はテへと小さく舌を出して、拳を自分の薄い頭にコツンと振り落とした。
そんな園田の姿に余計に殺意が湧いてきて、プルプル身体が震え始める。
「てめえ、ぶりっこしたって可愛くねえんだよ!」
ものすごい剣幕で園田に詰め寄る俺を見ていた芽衣子が、突然ケラケラ笑い出した。
俺は園田をドンと突き飛ばすと、その剣幕のまま芽衣子に向き直った。
「おい、芽衣子! 笑い事じゃねえんだぞ!
このままじゃ俺、何に生まれ変わるかわかんねえし、お前とまた一緒になんてなれねえんだぞ……」
事の重大さを知らない芽衣子の脳天気な笑顔を見てると、なぜか涙がこみ上げてくる。
半ベソ状態のまま、背中を丸めて俯いていると、芽衣子は少し背伸びして俺の頭を自分の胸に寄せた。
温かく柔らかい感触に驚いて顔を上げると、芽衣子が優しい笑顔で俺を見つめていた。