君をもう一度抱きしめたい2-2
「いきなりこんなもの渡されたって混乱しますよね。
有野さんにしてみれば私は初対面なわけなんだし。
でもね、あなたはご存知なくても、私はよく存じてましたよ。
有野芽衣子、25歳。
C信用金庫にお勤めにして、こちらのケダモノの恋人。
趣味は、ショッピングと映画鑑賞。
特技は踊る方のバレエ、ですよね?」
「え、何でそんなこと知ってるんですか……」
芽衣子は不安そうな顔で言った。
知らない男に自分の素性を知られていれば、薄気味悪く思うのも当然だろう。
「私はあなたのことならなんでも知ってるんですよ。
あなたの部屋での過ごし方、どんな映画が好きなのか。
あ、誰もいないからって部屋の中を下着姿でうろつくのはやめた方がいいと思います。
それとね、白いブラウスを着たら、下着はベージュにしないと透けちゃうんですよ。
まあ個人的には透けブラは大好きなんですが、身だしなみは大切です」
「…………」
芽衣子は顔を真っ赤にして泣きそうになりながらこちらを見た。
さすがにそんなことバラしたらかわいそう過ぎるだろ。
俺は芽衣子の身体を抱いていた手を離し、静かに立ち上がるとそっと園田の後ろに回り込んだ。
「おい、園田……」
園田の肩を叩いて諫めようとした所で奴は更に、
「まあ、あどけない顔しながらもそんなセクシーさを持つギャップが、あなたの魅力なんでしょうがね。
特に久留米さんとアレしてる時の有野さん、めちゃくちゃすごくて、私、度肝を抜かれて……」
と、余計なことをカミングアウトし始めたので、俺は慌てて
「バカやろう!!」
と、園田に向かって拳骨を振り下ろした。