君をもう一度抱きしめたい2-19
「ああ!!」
突然園田が素っ頓狂な声を出して、芽衣子を支えていた手を離した。
俺も芽衣子も咄嗟に園田に視線をぶつけると、奴は“ホーム・アローン”のマコーレー・カルキンさながらに、両頬に手をあてて口を大きく開けていた。
言わずもがな、カルキン少年の愛くるしさの1ミクロンも、この園田中年からは見出せなかったが。
「な、何だよ、園田」
俺は眉をひそめ、奴の方に顔を向ける。
奴を見れば、青ざめた顔から汗をダラダラ垂らしていた。
そんな園田のかつてない慌てぶりに、心臓がバクバク鳴り出してくる。
やがて園田は真っ青な顔を俺に向けたかと思うと、ただ一言だけ、
「手島さん……、タイムリミットとっくに過ぎてました」
とポツリと呟いた。