君をもう一度抱きしめたい2-17
みるみるうちに、まばゆい光が俺を包んでいく。
その光は温かく、柔らかく、まるで小さな子供が母親に抱かれているような優しさで溢れていた。
と、同時に今まで見ていた世界が少しずつ色褪せ始める。
だんだんぼやけていく景色に、いよいよかという想いがこみ上げてくる。
明るく別れるつもりだったのに、ここでもまた少し感傷的になっているのを鼻の下をこすってごまかした。
でも、湿っぽいのは俺のガラじゃねえんだ。
顔をクシャクシャにして泣いている芽衣子を見て、“泣きすぎてブスになってんぞ”と笑い飛ばそうとした時、
「茂、愛してる!」
と、彼女が声を振り絞ってそう叫んだ。
その瞬間、鼻の奥がツーンと痛くなって、たまらずに左手で鼻と口を押さえた。
……やべえ、泣きそうだ。
出鼻を挫かれ、思わずこみ上げてくる何かを我慢するように唾を飲み込む。
何か言ってやらないとと口を開きかけるが、なんでか声が出てこない。
ここで俺もスマートに“愛してる”なんて返せればいいのだけど、照れの方が勝っているのだろうか、口をパクパクするだけだ。