君をもう一度抱きしめたい2-13
「なんか、楽しそうだね」
芽衣子が俺達のやりとりを見て、目を細めてクスクス笑う。
俺と久留米がふざけ合っているのを眺めては、ケラケラと笑っていたあの頃の彼女と同じように見えた。
「あ、やっぱりわかります? 私達、“マブダチ”なんです」
「どこがだよ。いいか芽衣子、惑わされんじゃねえぞ。
コイツ、マジで変態だから気をつけろよ」
本気で心配してやってるっていうのに、彼女はニコニコ笑うだけ。
「そんな心配しなくとも、有野さんはちゃんと人間に生まれ変われるよう引導を渡してあげますよ。
それに、そんなに焦って成仏しなくとも少なくとも二週間はゆっくりできるんだし、せっかくだから仲良くしましょうね」
飛びっきりの笑顔を芽衣子に向ける園田が憎たらしくて、俺は舌打ちして睨みつけた。
「……お前さ、俺の時はサッサと成仏させたがってなかったか?」
「やっぱり若い女の子と離れるのは名残惜しくてね。
それに、手島さんのせいで今月はノルマ達成は無理になりそうなので、のんびり片付けていくことにしました。
今度は有野さんの口から、このろくでなしと久留米さんとの思い出話をたくさん聞かせてもらおうかと」
園田がそう言うと、芽衣子はニッと不敵な笑みを俺に向けてから、
「茂にされたひどいことなんていくらでも出てくるから、全部聞いて下さいね!」
と、二人でニヤニヤ笑い合っていた。