君をもう一度抱きしめたい2-12
何を伝えるべきか一生懸命考えている芽衣子に園田は、
「何でもいいんですよ。
有野さんからのメッセージなら、たった一言でも嬉しいでしょうから」
と、優しい顔を向けた。
「えーと、“ありがとう”でしょ、“大好き”でしょ、それから……」
言いたいことはたくさんあるのに、ありふれた言葉でしか言い表せないらしく、芽衣子は歯痒そうにしている。
そんな彼女を見て、園田はクスリと笑ってから、
「“茂よりよかった”なんて言えばめちゃくちゃ喜ぶんじゃないですか」
と、その華奢な肩をポンと叩いた。
「……てめえ!」
こんな真面目な場面でもふざけたことを抜かす園田に、またしても俺の神経は逆撫でされ、奴の尻に思いっきり蹴りを入れた。
「お前、さっきから芽衣子にセクハラしてばっかりじゃねえか!」
「だって、久しぶりに若い娘さんの担当になったからテンション上がっちゃって……」
尻をさすりながらも、悪びれない園田。
そんな奴に心底ウンザリして、深い深いため息をわざと吐いてやると、なぜか芽衣子がプッと噴き出した。