君をもう一度抱きしめたい2-11
やがて折りを見て、園田が俺の前にやってきて、
「手島さん、私ね、セツコをひっぱたいてやるっていう目的以外にも、この仕事を続ける目標ができましたよ」
と、ニカッと歯を見せ笑いかけた。
「……何だよ」
訝しそうに園田を見ると、奴は久留米を一瞥してから、
「久留米さんがこの先、幸せになるのを見届け、そしていつか天寿を全うされた時には必ず彼の担当をさせていただきます」
と力強く言った。
園田の言葉に、俺と芽衣子は思わず顔を見合わせた。
「本当か?」
「もちろん、それはいつになるかはわかりませんけどね。
でもいつか久留米さんと、このバカップルについて話をしてみたくなったんです。
ぬるい発泡酒なんかを片手にね」
ニッとイタズラっぽく笑いながら話す園田につられ、俺の顔も綻んでくる。
芽衣子だけが何の事やらわからず首を傾げていた。
「なあ、それじゃあそん時に久留米に“ありがとう”って伝えといてくれねえか」
俺がそう言うと、園田は優しい笑顔で大きく頷いた。
「有野さんも、久留米さんにお伝えしたいことがあればどうぞ」
「あ、ええっと……」
突然話を振られた芽衣子は、言葉に詰まって久留米の方を見た。