月夜の夢-5
「お姉さんさ。自信持ちなよ。スゲェいい女だからさ」
プッ。思わず笑いが溢れる。
高校生に言われてもね・・・
「ほんとだよ。もし、彼氏がお姉さんの良さを分からないヤツだったら
さっさと別れちゃえよ。俺が付き合ってやるから」
うん。
暗い部屋でも声色でポチが照れているのがわかる。
ありがと。
「ありがと。昨日さ。ポチがいてくれなかったら
あたし、凹みまくってた。ありがとね」
「ん」
そう言ったきり、あたしとポチは黙り込んだ。
「─────ねぇ、お姉さん」
「ん〜?」
「俺たち、もう会えないのかな?」
「多分・・・・
ポチがもし明日、家に帰ることができたら、もう会えないと思う」
「そっか」
本当なら決して出会わないあたしたち。
時間軸の狂いで出会ってしまったあたしたち。
そんなポチにあたしは助けられた。
でも、多分もう会えない。
もう、会う事は出来ない
「俺、お姉さんのこと好きになっちゃったかも」
「・・・・」
「聞き流してくれていいんだけど。
こんな子供の言うことなんて聞き流していいんだけど。
昨日、お姉さんの涙を見て。お姉さんを泣かすのは誰だよって思った」
うん。
「俺じゃダメ?」
ダメなんだよ。
ポチ。
あと2年後にあんたは8年前のあたしと出会うから。
8年前のあたしを大事にしてやって。