月夜の夢-4
「もう1度整理していいかな?」
「?いいけど?」
「ポチは宇野徹。今年は2003年。ポチは1986年生まれの凌風高校の2年生。
これで間違いない?」
「・・・うん」
徹だ。
ポチは10年前の徹かもしれない。
出身校も同じだ。
もう一度大きく深呼吸してあたしは「お風呂に入ってくる」とその場を逃げ出した。
いくら考えても
10年前の徹だと考えるとつじつまが合う。
ポチを見ていると
年号とか嘘をついているとは思えない。
言われてみれば徹の面影もある。
なんで・・・・
なんで、ここにいるんだろう。
なんで、こんな事になっているんだろう。
お風呂から出ると徹の荷物は綺麗に整理されていた。
「ポチ?」
「お姉さん、俺明日家に帰るよ」
「ど・・・どうやって?」
「え?電車で?」
「そう・・・」
「4泊も泊めてもらっちゃって、ありがとう」
「いいのよ・・・・」
「もし・・・もしも、帰れないときは
遠慮なく戻ってきなさいね」
「うん?ありがとう」
その日、あたしたちは月の光の中
4回目の一緒の夜を過ごした。