投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

また君に会いたい
【その他 恋愛小説】

また君に会いたいの最初へ また君に会いたい 204 また君に会いたい 206 また君に会いたいの最後へ

君をもう一度抱きしめたい1-1

 


   ◇   ◇   ◇



俺の目の前には、目を閉じたままの芽衣子が横たわっていた。


ピクリとも動かない彼女を見てると、まるで眠り姫のようで、キスでもすれば目を覚ましてくれるような気がした。


でも目を覚ました所で、もう取り返しはつかない。


目の前で眠る芽衣子は“霊魂”としての有野芽衣子であり、もはや人間としての彼女ではないのだ。


結論から言えば、俺は芽衣子を助けられなかった。






――数分前。


崖から飛び込んだ俺は、何度も海に潜っていた。
辺りを隈無く探したつもりだった。


一向に見つけられない芽衣子の姿を必死で探したが、過ぎていく時間に比例するように、諦めのような気持ちが勝手に膨らんでいった。


それでも泣きながら芽衣子の名前を呼び続け、波に飲まれながら探し続ける俺を無理矢理岸に連れ戻したのは、久留米についていたはずの園田だった。


岸に上がれと言う園田に対し、諦め切れないで暴れ続ける俺。


そんな俺の頬を、奴は思いっきりひっぱたいた。


そして、静かな声で


「有野さんは、先ほど飛び込んだ場所にいらっしゃいます」


と、悔しそうに言った。


そんな園田の表情で俺は全てを理解したが、感情だけが事実から置いてけぼりにされ、なぜだか吐き気がこみ上げてきた。



また君に会いたいの最初へ また君に会いたい 204 また君に会いたい 206 また君に会いたいの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前