君をもう一度抱きしめたい1-8
「……芽衣子?」
俺は揺すっていた手を止めると、芽衣子の顔をじっと見つめながら、静かに声をかけた。
それに呼応するように、徐々に開かれていく瞳。
固唾を飲んで、その様子を見守っている中、ついに芽衣子の瞳が完全に開かれた。
彼女は眩しそうに一度だけ目を細めてから、再び大きく開けた目を左右に揺らす。
荒くなる俺の息。
そんな俺の気配に気付いた芽衣子は、ゆっくりこちらを見やった。
絡まる視線に、ハッと息を呑む音。
まるで時間が止まったかのように、俺も芽衣子も固まってしまった。
しかし、そんな止まった時間を元に戻したのは、彼女の驚きに見開いた瞳だった。
芽衣子は視界に俺を捉えると、ポカンと半開きになっていた唇から、たった一言だけ、
「嘘でしょ……」
という言葉を漏らした。