君をもう一度抱きしめたい1-7
眉をひそめていた芽衣子は、しばらくすると顔の力を緩め、また穏やかな顔つきで眠りについた。
それを見てると、涙ぐんでしまいながらも懐かしさがこみ上げてきて、フッと頬が緩む。
芽衣子はいつもこんな風に、気持ちよく眠っているのを俺に邪魔されてばかりだったことを思い出したからだ。
もちろん、ここで芽衣子にちょっかい出すのを止めるような俺ではない。
俺はさらに、芽衣子のこめかみの辺りから髪を一掴みすくい取ると、今度は彼女の鼻の下をその毛先でくすぐり始めた。
「うぅ……」
目を閉じながらも、今度は露骨に嫌な顔をして、唸りながらそっぽを向いた。
そんな彼女の反応が可笑しくて、クスクス笑う半面、俺の心臓は早鐘を打つようにドキドキしてくる。
もし芽衣子が目を覚まして、俺の顔を見たら、どんな反応をするだろうか?
早く目を覚まして欲しいのに、一向に起きようとしない芽衣子に、ついに俺は痺れを切らして、
「なあ、いいかげん起きろって」
と、彼女の身体をユサユサ揺すった。
そうしていると、芽衣子の瞼の辺りがピクピク動き出し、綺麗にカールされた長い睫毛が小さく上下し始めた。