君をもう一度抱きしめたい1-6
芽衣子がそこまで俺を想っていてくれたことは、嬉しいに決まってる。
でも、芽衣子の未来がこれで失われてしまったのだと思うと罪の意識に押し潰されそうになるのだ。
「バカなんだよ、コイツは。
俺なんかを好きになって、俺なんかのために人生捨てるんだから」
彼女に悪態を吐きながら、芽衣子の柔らかい頬を突っついてやる。
「おいバカ女、何とか言えよ。
何呆気なく死んでんだよ。
お前、悪運強かったじゃねえか。
俺とここから飛び込んだって、俺があの手この手で殺そうとしたって、死ななかったくせに……」
芽衣子の寝顔にちょっかいを出しているうちに、気付けば涙がまた溢れてきて、彼女の頬にポタリと雫が落ちた。
その瞬間、芽衣子は目を閉じたままうざったそうに眉根を寄せた。
俺は慌てて園田を見やる。
「……多分、そろそろ目を覚ますと思います。
そうすれば、同じ霊魂同士、互いの姿も見えるし話もできます。
皮肉にも、有野さんが死んだから手島さんの声がやっと届くんですよ。
ちょっと私、この案件を引き継ぐ連絡を入れてくるので、有野さんが目を覚ましたらお説教しといて下さいね」
そう言って園田はスーツのポケットから携帯を取り出すと、まるで気を利かせたかのように、俺達のそばから離れていった。
――俺の声が届く。
そう言われて一気に心臓が高鳴るような気がした。
そしてはやる気持ちを抑えつつ、再び芽衣子の顔をじっと見つめた。