君をもう一度抱きしめたい1-23
触れるだけのキスを何度も繰り返し、上唇をついばみ下唇をついばんでいくうちに、芽衣子は少し口を開いて、俺を受け入れ始めた。
彼女の後頭部を左手で支えながら深くなっていくキスに、へその下辺りがむず痒くなっていく。
波の音に紛れながらも脳内で響くリップ音が、俺のスイッチを入れてしまった。
右手を伸ばし、ゆっくり彼女の胸を包み込んでいく。
柔らかくも弾力のあるそれは服越しからでも充分に伝わってくるけれど、直に触れたい欲求は膨らむばかり。
サラサラと手触りのよい服の生地が、今はとてももどかしくて、その手を背中にまわすとファスナーを一気に下ろした。
「……ちょっと、何すんの」
顔を離した芽衣子は、氷のように冷ややかな視線を俺に向けた。
「え? シたくなっちゃったんだけど、ダメなの?」
むしろそんな顔をする芽衣子の方が信じられなくて、大真面目に問いかける。
「茂……、こんなとこでするのは嫌だよ」
芽衣子が少し呆れたように言った。
でも芽衣子に拒まれるのなんて慣れっこな俺にとって、彼女の冷めた反応など取るに足らないものである。
それに、彼女をその気にさせるスイッチだって熟知しているつもりだった。