君をもう一度抱きしめたい1-20
いつも芽衣子には俺の最悪なとこばかり見せてきた。
それでも、なんだかんだいっても俺についてきてくれたのは、俺のことを愛していたからだと思っていた。
だから殺すつもりだったことを告白しても、笑って許してくれると思っていたけれど、ぷいとそっぽを向いた彼女を見れば、自分のしようとしてきたことがいかに卑劣であるかが思い知らされた。
ここに来て完全に愛想を尽かされたことに、ガックリうなだれてしまう。
覆水盆に返らず、言ってしまったことに激しく後悔して、背中を丸めていると、突然芽衣子が後ろから俺を抱き締めてきた。
「……芽衣子」
「でもね、こんなどうっしようもない男に愛想尽かさずついてこれるのは、きっとあたしだけだよ」
背中がふわりと温かく包まれ、ジーンと胸が熱くなる。
俺は、身体にまわった彼女の手に、そっと自分の手を重ねてから、
「……そうだな、俺なんかのために死んでくれるようなバカはお前ぐらいだわ」
と笑った。
「もう、さっきからバカバカばっかり」
「だってそれしか出てこねえもん」
「もっと気の利いた言葉言えないの?
やっと最愛の彼女に会えたんでしょ?」
おどけて芽衣子がそう笑うと、俺は自分の身体をすかさず反転させて、彼女の顔をジッと見た。