君をもう一度抱きしめたい1-19
そうして俺は、いかにして芽衣子を殺そうと企んでいたかを淡々と打ち明けた。
建設中のビルの上から、芽衣子の頭目掛けていろんな物を落としてやったこと、駅のホームや階段の上から突き飛ばそうとしたことやら話すと、芽衣子は黙って下唇を噛み締めていた。
「……でもお前、悪運強過ぎて全然殺せなかったんだ」
「…………」
「でも、失敗してばかりでよかった。
俺の都合でお前の未来を奪っていたら、多分一生後悔してたと思う。
それに、いざお前が危ない目に合った時は、体が勝手に助けにいったりしてたし、きっと心のどこかでは死んで欲しくなかったんだよ。
……でも、俺のしたことはひどすぎだよな。
正直、お前に合わす顔がねえ」
芽衣子の反応が気になって、薄目でそーっと彼女の顔を見れば、そこには眉をひそめてジロッと睨みつけてくる怖い顔があった。
「襲われた時に助けてくれたって知って、それこそ“ゴースト”みたいなんて喜んでたら、実は殺そうとしてたなんて……。
ホント茂ってどうしようもないね」
「……スミマセン」
「ああ、こんな奴のために死んじゃったあたしってバカ」
芽衣子は俺の身体をドンと突き飛ばすと、スクッと立ち上がった。
――やっぱり言わなきゃよかった。
俺ははあっと深いため息をついて、頭を抱え込んだ。