君をもう一度抱きしめたい1-17
言うか言うまいか迷った後、俺は震える唇をゆっくり開いた。
「すぐに助けに行かなかったのは、怖かったってのはもちろんなんだけど、このままほっといて芽衣子が殺された方が、俺には都合良かったんだ」
「え……?」
「正直に言うよ。
俺、お前に死んで欲しかったんだ」
俺がそう言うと、芽衣子は呆然とした顔で俺を見つめていた。
「久留米にお前を取られたくないなんてくだらねえやきもちだけで、お前のこと殺そうとしてたんだよ」
サッと芽衣子の顔が青ざめる。
「俺が死んだあの日、お前が生きてるって知った俺は、お前の顔が見たくてアパートに帰ったんだ。
そしたらお前、久留米といちゃついてただろ」
俺が少し冷めた目で彼女を見やると、今度は青い顔から一転して顔を真っ赤にしていた。
「あ、あれは……」
「俺が死んだってのに、すぐさま浮気だなんていい根性してんじゃねえか。
しかもその前に浮気した相手も、キャバクラの客なんかじゃなく久留米ときたもんだ。
たまげたね、俺は。思わず目が点になっちまったよ」
俺がそう言うと、芽衣子は真っ赤になった頬を両手で押さえていた。