君をもう一度抱きしめたい1-16
「でも、なんとなくこのタイミングで返されたDVDが気になって、一人で映画観てたの。
結局、途中で疲れて眠っちゃったんだけど、そんときに見た夢に、さらに茂が出てきたんだよね」
「……どんな夢だった?」
「大したことないよ?
一緒にゴーストを観てたってだけの夢。
でも、最後まで一緒に観てくれたことなんて一度もなかったから嬉しかった。
茂ってばガラにもなくボロボロ泣いてたんだよ。
あんなに“恋愛映画なんて観たくない”って言ってたくせに。
そんな大したことない夢だったけど、なんか妙にリアルだったなあ」
……俺の声はちゃんと届いていたんだ。
落ち着いていたと思った目頭がまたツンと痛み出す。
「それにしても、夢にまで出てくるなんて、茂ってばどこまであたしの邪魔すんだろうね」
ふざけて笑う芽衣子に対し、
「だって俺、死んでからずっとお前のそばで一生懸命話しかけたりしてたもん」
と、真剣な眼差しで芽衣子を見つめた。
「え?」
「バカだよな。
全て失ってから、お前のことが一番大切だって気付いたんだ。
取り返しつかないけれど、せめてそばにいたくて、ストーカーみたいにお前の周りうろちょろしてたんだぜ、キモイだろ」
小さく笑うと、彼女は驚愕に見開いた目をこちらに向けていた。
「じゃあ、襲われた時に助けてくれたのって……」
芽衣子の言葉に、ゆっくり俺は首を縦に振った。
「すぐに助けに行かなくて、悪かった」
俺が頭を下げると、彼女は信じられないといった顔で両手で口を覆い隠した。