君をもう一度抱きしめたい1-13
俺達はそうやってしばらく抱き合ったまま、鼻をすすっていた。
ようやく涙が収まってきた頃、俺はおもむろに口を開いた。
「……俺な、やっとお前のこと諦めて、幸せを願ってやるって決めたんだぜ」
芽衣子の髪の毛を指にクルクル巻きつけながら、悪戯っぽく笑うと、俺の腕の中に収まっていた彼女は不思議そうな顔でこちらを見た。
「幸せ?」
「そうだよ。お前は久留米と一緒になれば、一番幸せになれたんだ。
アイツは俺と違って優しいから、お前を殴ったりしないだろうし、ギャンブルなんてやんねえし、県職員だから将来も安定してるし、何よりお前にベタ惚れだから浮気の心配は絶対ない。
そう思うだろ?」
「…………」
「久留米になら、安心して芽衣子のこと任せられるって思っていたのに、なんで死んじまうんだよ。
ホント救いようのねえバカ女」
「……自分でもそう思うよ」
芽衣子がフフッと小さく笑い、さらに続けた。