君をもう一度抱きしめたい1-11
「そんなの、先にバカな真似した茂に言われたくない!
あんたが死んで、あたしがどんな想いしてたのか知らなかったくせに……」
芽衣子は責め立てるように、俺の胸をドンドン叩き始めた。
思いのほか強い彼女のパンチに、いろんな意味で胸が痛くなってくる。
されるがままの俺に向かって、芽衣子はさらに続けた。
「大体、自分は散々浮気してたくせに、あたしが一度だけ浮気したくらいで無理心中なんて、どんだけ心が弱いのよ、このバカ!
あたしが今までされてきたことに比べたら大したことじゃないでしょ!」
「…………」
芽衣子の的を射た言葉に、俺はぐうの音も出ないでひたすら芽衣子のパンチを受けるだけ。
「こんな自分勝手な男、サッサと見切りをつけて忘れてやるつもりだったのに……。
なのに、何でいつまでもあたしの心の中から出て行ってくれないのよ!
忘れようとすればするほど、あたしの中に入ってきて、苦しくさせてばかりで。
ホント、生きてても死んでも迷惑ばっかりかける最低男だよね」
「……わりぃ」
俺が震える声で謝ると、やがて芽衣子は叩いていた手をゆっくり止めた。