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アイドリング
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アイドリング-6

「あの試乗車は、ただのオモチャです」

 花を受け取る友里を見つめながら、今までになく真面目な顔で西山が言う。
 そして上着を脱ぎつつ、

「試乗、なさいますか?」

 シャツまで脱いでしまうと、むきむきと引き締まった肉体美があらわれた。

「はい、試乗します……」

 友里が目を閉じるのと唇が重なるのとは同時だった。
 互いの味を確かめるようなキスは、やがて舌を絡めるディープキスへ発展し、友里の背中にまわした西山の手が着衣を取り払ってしまう。

 揺れるバストは、あたりまえに白くて綺麗だ。西山の手がそこに向かう。

「うっ、ううん……」

 友里の眉間に快感の表情が刻まれる。やさしく乳房を持ち上げてくる手が、敏感なスイッチを探るように先端に迫ってくる。

「あふん……」

 乳首を包み込むようにして愛撫に集中する西山。愛車をメンテナンスするのとおなじくらい丁寧に指をはこぶ。

「ここが感じるんですね?」

「あん、いじわる……」

「水越様が可愛いから、僕をいじわるにさせるんです」

「友里って呼んで……」

 確かなハグの最中に友里のスカートを下ろしていく西山は、圧倒的な包容力でもって友里のすべてを独占してしまう。

「友里が欲しい……」

 西山は自分も全裸になって、友里の肌をむさぼりながらベッドに着地する。

 そこに沈む二つの肉体に陰気な作為はない。
 純粋に相手を求めるだけの男女がいるだけだった。

 西山が先にクンニリングスに及んだ。友里の性器に吸い付いて、逃げる腰を引き寄せてはまた吸い付く。

「ああ、恥ずかしい……、気持ちいい……」

「溢れてる……、友里の愛液……」

 西山の情熱を感じながら体を横たえて、ここはどこの楽園なのだろうかと友里は現実を思った。
 もつれた関係ではなく、割り切ってセックスを楽しむ現実。

 行為はやがて加速したり、減速したり、蛇行したり、直進したり、前戯にもいろいろな表情があることを知った友里。

「今夜は眠らせないよ、友里……」

 西山の手が枕の下にくぐるのを見た友里が、それを止めにいく。

「コンドームは、着けないでください……」

「いいの?」

「今日は、安全なので……」

 どうせ思い出になるだけのセックスなら、オブラートなんていらないと友里は思った。

 西山の呼気は熱かった。それだけ本気で臨んでくれている証拠だろう。

「やさしく、して……」

 下からせり上がってくるペニスの気配は普通じゃなかった。

 大きい──。

 友里の鼓動が速くなったところに、西山の鼓動が重なってくる。

 みじかいキスがあって、産毛が触れる感覚が去っていくと、いよいよ友里の轍(わだち)と西山のペニスが交わった。


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