君とサヨナラする日2-1
久留米の唇は半開きになったまま震え出し、生唾を飲み込んでいるのか、時折喉仏が上下に動いていた。
「……バカなんだ、アイツ」
芽衣子は小さく笑って拳を作り口元にあてて、再び話し始めた。
「一緒に死のうって言ったくせに、あんなに守るみたいに抱きしめて飛び降りたもんだから、結果がこれ」
「…………」
久留米の目が次第に潤んできて、奴はそれをこらえるかのように歯を食いしばっていた。
「あたしだけが生き残って、茂は……」
「やめろ!!」
芽衣子の言葉を途中で遮った久留米は、いつの間にか切れ長の目から涙をこぼしていた。
「久留米……」
会えばバカばっかりやっていた親友の、初めて見る涙。
普段は涙なんて決して見せたことのない奴の涙を見た瞬間、俺の心臓はドクンと脈打った。
「嘘だよ、そんなの!
茂が無理心中なんてバカな真似するわけねえだろ!
あんなヘタレでお調子者で、殺したって死なないくらいふてぶてしいあの野郎がそんなバカなこと……」
そう言いながら久留米は、ガクンと膝の力が抜けてしまったのか、崩れ落ちるように地面に膝を着いた。
そしてそのまま、両手も地面についたかと思うと、そのままうずくまって身体を震わせていた。