君とサヨナラする日2-6
「……本当、お人好し」
「諦めが悪いって言ってくんねえ?
だてに6年お前を好きだったわけじゃねえぞ。
お前がなんかおかしいのもちゃんと気付いていたんだからな。
それに、この出来事を知ったからって、はいわかりましたなんて退いてしまうほど、オレは聞き分けよくねえんだ。
まあ、さすがにこんな事態になってたとは予想できなかったけどな」
久留米は乱暴に手の甲で目をゴシゴシこすってから、少しだけ不敵に笑って見せた。
俺の真似ばかりしていた芽衣子を、コイツはどんな気持ちで見ていただろうか。
せっかくこの二人が幸せになってくれればいいと思えるように、頑張って自分の気持ちに整理をつけてきたのに、俺の存在がまた二人の邪魔をしている。
でも俺が死んだ今、この不安定な芽衣子を支えてやれるのは、もう久留米しかいないのだ。
俺は、久留米にすがるような目を向けた。
久留米は昔からなんでもそつなくこなし、勉強もスポーツも人並み以上、女にもモテる、でもそんなの鼻にかけることもなくバカやったりもできる、俺にとって憧れの男なんだ。
なんでもできる、この男に頼めば、きっとこの先も芽衣子を守ってくれるに違いない。
「久留米……、なんとか芽衣子を説得してくれ」
俺はヒーローに助けを請う少年のように、ひたすら久留米に向かってそう呟いていた。