君とサヨナラする日2-5
やがて二人は次第に言葉を発しなくなり、二人してスンスン鼻をすすっていた。
「あたし、久留米くんの優しさに逃げてきたけど……これ以上迷惑かけられない」
ようやく芽衣子が声を出したかと思うと、久留米はまたギロッと潤んだ瞳で彼女を睨んだ。
「……何言ってんだよ」
「だから、あたしと一緒にいたら久留米くんに迷惑がかかるって……」
「迷惑なんかじゃねえだろ……」
久留米は震える足をなんとか立ちあがらせ、小さく呟いた。
「こんな話聞いて、それでもこんなめんどくさい女を受け入れてくれるって言うの?
あたしは無理心中に失敗した女なんだよ。
きっと茂の身元がわかったら、いつか警察から事情を聞かれると思う……」
芽衣子がそこまで言うと、久留米はチッと舌打ちをした。
「そんなの聞いたらますますほっとけるわけねえだろうが!
めんどくさい? そんなの今に始まったことじゃねえぞ!
人の気持ちに気付かないで、やれ茂に浮気された、殴られた、金使い込まれたなんて泣きついてくるようなめんどくさい女、好きじゃなかったらとっくに見放してるよ!」
芽衣子は流れる涙をそのままに、呆れたように笑った。