君とサヨナラする日2-4
芽衣子は少し低い静かな声で、
「久留米くん、茂は死んだの」
と、ポツリと言った。
芽衣子の言葉に久留米は首を横にブンブン降って、地面を何度も殴りつけていた。
久留米の拳が地面を殴りつけるたびに砂埃が小さく舞い上がる。
「嘘だよ、そんなの信じねえよ……」
久留米は地面に突っ伏したまま、身体を震わせむせび泣いていた。
「ごめんなさい、今まで黙ってて……。
現実見ないで、久留米くんの優しさに逃げてしまって……」
「オレのせいだ、オレがお前に手出しちまったから……。
オレが茂を追い詰めてしまったんだ……」
「それは違うよ。茂は相手が久留米くんだって知らなかったんだから。
そもそも、久留米くん家にいきなり押しかけたあたしが一番悪いんだよ」
「……いや、オレがお前のことサッサと諦めていれば、こんなことにならなかっただろ。
友達の彼女をいつまでも諦められなかったオレのせいなんだ……」
二人は、延々と自分が悪いと言い張っていた。
涙と共になぜか笑いがこみ上げてくる。
「もう、二人とも止めろよ。
お前ら何にも悪くねえだろ?
全ての元凶は、浮気しまくって芽衣子を殴ってばかりの俺だろうがよ……」
笑って言ったつもりなのに声が震える。
――なんでコイツら、俺を責めねえんだよ。
二人してホンット、バカな奴らだよな。
俺は、園田に向かってそう笑いかけようとしたが、涙が溢れて声が出ない。
さっきから難しい顔をしたままの園田は、そんな俺の肩を黙って抱いてくれた。