君とサヨナラする日2-3
久留米は芽衣子を睨みつけたまま、
「ここは自殺の名所なんだろ!?
お前らが飛び込んだ日と水死体の死亡推定日時がかぶっているからって、それが茂とは限んねえだろうが!
他にここから飛び込んだ奴だっているかもしれないし、茂だって決めつけてんじゃねえよ!」
と、声を荒げた。
芽衣子にいつも優しかったあの久留米が、彼女に怒鳴りつけるほどの剣幕を見せるなんて……。
「久留米……」
久留米のその姿に、なぜか涙がこみ上げてくる。
「あたしだってそんな記事、信じたくなかったよ!
でも遺留品の一つとして発表されてたスニーカー……、あたしが茂にプレゼントした、ちょっと高いメーカーのやつと同じだった……」
芽衣子もボロボロ涙をこぼし始め、叫ぶように言った。
確かにあの日は芽衣子に買ってもらったスニーカーを履いていた。
あれは、俺の好きな服のメーカーで出した限定モデルで、高いし少ししか生産していないらしいから、そうそう同じのを履いてる奴はいないはずだ。
それに、俺が死んだのは俺が一番よくわかっている。
新聞記事の水死体の正体は、ほぼ間違いなく俺だろう。