君とサヨナラする日2-15
「うわああああああ!!!!」
久留米の叫びが辺りに響き渡る。
俺はその叫びを背後に受けながら、慌てて断崖から海面を見下ろした。
しかし荒い波が岩場にぶつかり、白いしぶきが一面に広がっているため、海の中の様子がわからない。
芽衣子の姿を一向に見つけ出せないことに焦り始め、嫌な汗がぐっしょり身体から噴き出てくる。
マズい、こっから飛び込んででも芽衣子を助けに行かないと……!
「園田! 俺芽衣子を助けに行って……」
そう言いかけて園田の方を振り返ると、奴は真っ青な顔をして、
「手島さん、久留米さんが……!」
と、慌てふためいた口調で久留米の方を指差していた。
園田の指差す方向を見れば、久留米が泣きながらこちらの方に走ってくる所だった。
「芽衣子、今助けるからな!!」
――ヤバい、コイツは間違いなく、芽衣子を助けにここから飛び込むつもりだ!
でも、生身の人間がここから飛び込んでただで済むはずがない。
ここで久留米にまで飛び込まれたら……!
久留米は芽衣子が飛び降りてしまったことですっかりパニックになってしまい、自分がどれだけ危ないことをしようとしているのか、おそらくわかっていない。
俺は長めのまばたきを一つしてから、こちらに走ってくる久留米に向かって、
「……久留米、わりい!」
と、大声で詫びを入れ、奴の腹に向けて渾身の蹴りを入れた。