君とサヨナラする日2-14
俺の目の前で空を飛んだ芽衣子の身体は、やけにスローモーションのようにゆっくりだった。
「この、バカ女が!!」
俺はそう叫びながら目の前にある芽衣子の腕を掴もうと、目一杯手を伸ばした。
――あと少しだ!
スルッと俺の指先が彼女の腕に触れる。
一瞬、芽衣子の瞳が驚いたように見開き、俺と目が合ったような気がした。
「芽衣子!!」
涙でぼやけて見える芽衣子に向かって、俺は精一杯彼女の名前を叫ぶ。
でも、それは虚しく空に消えて行った。
俺の指先は、芽衣子の腕を捕らえることができず、ただ彼女の肌をかすっただけ。
次の瞬間、芽衣子は海の中へと吸い込まれて行った。
……一瞬触れた彼女の肌が汗ばんでいたことだけが、妙に指先に生々しく残っていた。