君とサヨナラする日2-13
彼女の表情はこんな時なのに驚く程穏やかで、それがかえって得体のしれない恐怖となって俺を包む。
「でも、やっぱりあたしはバカだから久留米くんの優しさ踏みにじってまでも、こんな答えしか出せないの。
きっと久留米くんのことだから、このことで自分を責めちゃうかもしれないけど、あなたは何も悪くない。
迷惑かけまくるあたしが全部悪いんだから、どうか自分を責めないでね。
あたしも、もちろん茂だって、久留米くんのこと大事な親友だと思ってるし、むしろ感謝の気持ちしかないんだから。
久留米くん、今まで本当にありがとう」
「言ってる意味がさっぱりわかんねえよ!
何なんだよさっきから!」
久留米は、どうしていいかわからずただ泣きながら叫ぶだけだった。
しかし芽衣子は奴とは対照的に、涙を浮かべながらも優しく微笑むだけ。
そして静かな声で、こう言った。
「最後まで傷つけてごめんなさい。それでもあたし、アイツのいない世界なんて考えられない。
あたしはこれからバカな真似するけど、久留米くんはちゃんと生きて……そして、絶対絶対幸せになってね」
「ヤ、ヤバいですよ手島さん!」
園田の叫びを聞き終えないうちに、俺は芽衣子の元へ走り出していた。
「や、やめろ!!」
久留米がそう言うのと同時に、芽衣子はギュッとキツく目を閉じ、大地をグッと蹴り上げた。