君とサヨナラする日2-11
だが、同時に一つの疑問が思い浮かぶ。
……なら、なんでアパートを引き払った?
ファミレスで食事をする前に、芽衣子はアパートの管理会社に立ち寄り、確かに鍵を返却した。
そこの社員に嫌みを言われたのもハッキリ聞いたし、あのがらんとしてしまったアパートの部屋を出て行くとき、芽衣子が頭を下げて礼を言った瞬間、俺の胸が苦しくなったのも夢なんかじゃない。
このまま久留米のアパートにも行かないとなると、芽衣子はどこに行くつもりなんだ……?
実家に帰る?
それとも他に引越先を考えてるのか?
ほとんど無いに等しいくらいの少ない荷物はどこに送った?
ひたすらむせび泣いている芽衣子の華奢な身体を見つめながらふと、
これじゃまるで身辺整理みたいじゃないか……。
と、そんな言葉が頭をかすめた。
そしてその瞬間、とてつもなく嫌な予感がして、俺は顔が一気に青ざめた。