君とサヨナラする日2-10
俺が死んだ日に久留米に抱かれ、俺がいなくともほとんど泣くこともなかった薄情な芽衣子が、今までにないくらい取り乱し号泣している。
その姿を見てると、俺も涙が止まらなくなり、
「芽衣子!!」
と、思わず彼女の名前を叫んでしまった。
でも芽衣子はそんな俺の叫びも知らず、ただただ激しく泣きじゃくるだけ。
「芽衣子……、最後まで泣かせてばかりで悪かった……!」
届かない想いだけど、俺は涙ながらに何度も彼女の名前を呼んでから、そう叫んだ。
その一方で、俺の視界の端に映る久留米は、静かに涙を流しながら、悔しそうに拳を握り締め、その大きな身体を震わせていた。
「芽衣子……、もう泣かないでくれよ……」
その声は、普段の快活な久留米からは想像もできないほど弱々しかった。
芽衣子は真っ赤な目を久留米に向け、
「……だから、あたしは……、こん、な気持ち、のまま、久留米くんと……一緒、には……なれ、ない……」
と、ヒックヒックとしゃくり上げながら、そう言った。
「芽衣子……」
久留米は左手で、両瞼を押さえながらガクッと頭をうなだれた。
――芽衣子の答えは、俺の予想を裏切った。